まとめ:EU圏内を通常の国内プランで旅行するなら、ローミングはすでに含まれているため、追加のものは必要ありません。EU圏外に出る場合、eSIMのほうが安く済むことが多く、事前に固定料金を支払うので、1日単位やMB単位で知らないうちに跳ね上がる可能性のある請求を避けられます。
ローミングとeSIM:比較する前にそれぞれを理解する
どちらが自分に合っているかを決める前に、それぞれの技術を明確に理解しておきましょう。両者は排他的なものではなく、同時に使うこともできます。実際、ほとんどのケースでそれを推奨しています。
キャリアのローミング
国際ローミングとは、お使いの携帯電話が海外のネットワークに接続したときに、日本のキャリア(ドコモ、au、ソフトバンク、楽天モバイルなど)が自動的に有効にするサービスです。何もする必要はありません。物理SIMはそのまま機能し、電話番号も変わりません。通話とデータ通信は、お使いのキャリアと滞在先の現地キャリアとの間の商用契約に基づいて行われます。変わるのは料金と条件で、これらは完全にご利用のプランに依存します。この仕組みについてもっと詳しく知りたい方は、データローミングとはの完全な解説をご覧ください。
旅行用eSIM
eSIMは、ここ数年で発売されたほとんどのスマートフォンに内蔵されているeSIMチップにインストールするデジタルプロファイルです。日本のキャリアと渡航先の国の契約に依存するのではなく、旅行用eSIMは、お客様が購入するプリペイドデータプランを通じて、現地のネットワーク(プランによっては複数)に直接接続します。データ量と期間を選び、QRコードをスキャンしてインストールします。物理的なカードは不要で、デュアルSIM機能により、通常のSIMと共存できます。日本の番号は通話とSMSにそのまま使え、データ通信はeSIM経由になります。
根本的な違いはこれです。ローミングは既に持っている契約が自動的に作動するもの。eSIMはその旅行のために特別に購入する商品であり、出発前に分かる確定した料金が設定されています。
eSIM vs ローミング:比較表
| 要素 | キャリアのローミング | 旅行用eSIM |
|---|---|---|
| 料金 | EU圏内は込み。EU圏外はプランと国によって大きく異なるため、最新料金はキャリアに確認 | 旅行前に分かる確定料金 |
| 予想外の高額請求リスク | EU圏外では、データボーナスが切れた場合やMB単位の料金が発生する場合にあり | ほぼなし。契約データを使い切ると、単に通信が止まる |
| エリア | キャリアと現地ネットワークとの契約に依存 | 渡航先の現地ネットワーク。現地でSIMを買うのと同様 |
| 設定 | 自動。何もする必要なし | 出発前にQRコードをスキャンするだけ。2~3分 |
| 電話番号はそのまま | はい | はい。デュアルSIMモードで物理SIMを並行して使える |
| 通話とSMS | 通常含まれている | データのみ。通話とSMSは物理SIMが引き続き管理 |
| 複数国への旅行 | 頻繁に国を変えると複雑になる可能性あり | 1つのプロファイルで複数国をカバーするリージョナルプランあり |
| 契約の縛り | キャリアとの契約による | プリペイド。縛りや自動更新なし |
スペインから旅行する場合のeSIM vs ローミング
回線がスペインのものである場合、最も重要な出発点はこれです。EU圏内ではローミングはすでに支払い済みです。2017年以降、「Roam like at Home」という規制が適用され、キャリアはEU圏内の他の国でのデータ、通話、SMSの使用に対して追加料金を請求することを禁止しています(ごく安いプランにはフェアユースポリシーの制限がありますが、通常の旅行では問題になりません)。つまり、フランス、ポルトガル、ドイツなどEU加盟国に行く場合、通常のプランでカバーされるため、eSIMを購入するのは余分なお金を使うことになります。
状況が大きく変わるのは、EU圏外に出たときです。そこでは各キャリアが独自のローミング条件を適用し、通常EU圏内よりもかなり高額になります。1日単位で課金するキャリアもいれば、データブロック単位で課金するキャリアもいます。また、データボーナスを契約していない場合、消費したメガバイト単位で請求されることがあり、これがソーシャルメディアで時々見かける数百ユーロの請求書を生み出すシナリオです。EU圏外に出る前に、ご自身のプランが欧州域外で何を含んでいるかを正確に確認し、その料金と、固定データ量の渡航先eSIMの料金を比較するのが最も賢明な方法です。
ヨーロッパにおけるeSIM vs ローミング(そして、必ずしも何かを購入する必要がない理由)
これは私たちが最もよく受ける質問です。「ヨーロッパ旅行にeSIMを買うべきですか?」というものです。もしあなたの回線がスペイン(またはEU加盟国)のもので、旅行先もEU圏内であれば、正直な答えは通常いいえです。EU域内ローミングは問題なく機能し、追加料金はかからず、出発前に何かをする必要もありません。
とはいえ、EU圏内であってもeSIMが役立つ状況はあります。
- ローミングが非常に制限されている格安プラン。一部の格安プランには、EUローミングが含まれていてもデータ容量が少なく、散発的な利用を想定しており、2週間自宅のようにスマホを使うのには向いていません。
- ヨーロッパを訪れる非EU圏の旅行者。あなたの回線がEU圏外のもの(例えば、ラテンアメリカからの旅行者がスペインとイタリアを訪れる場合)であれば、ヨーロッパのローミングは適用されず、何らかの形で現地データが必要になります。
- EU圏と非EU圏を組み合わせた旅程。例えば、スペインから始まり、スイスやイギリス(この場合EU圏外)を経由し、モロッコで終わるような旅行では、各区間のローミングに依存することなく、旅程全体をカバーする地域eSIMが役立ちます。
長期滞在の場合や、スペインの回線で複数のヨーロッパ諸国を移動する予定がある場合、eSIM Europeのようなプランは、ローミングプランに影響を与えずに固定データ量を確保でき、特にデータを多用する場合(オフラインナビ、ビデオ通話、リモートワーク)に便利で、ボーナスの上限に依存したくない場合に役立ちます。
イタリアの具体例
イタリアは、「eSIM vs ローミング」に唯一の答えがない理由を示す完璧な例です。EU加盟国であるため、通常のスペインのプランでスペインから旅行する場合、ローミングは他のEU諸国と同様に含まれています。ローマ、ミラノ、トスカーナで通話、SMS、またはインターネットを利用するために何かを購入する必要はありません。違いは、あなたの使い方次第です。ハイシーズンに、非常に観光客の多いエリア(コロッセオ周辺、フィレンツェの中心部、または正午のヴェネツィアの狭い通り)では、人混みでネットワークが混雑し、データ速度が遅くなることがあります。これは、ローミングでも現地のeSIMでも解決できません。ネットワークの輻輳の問題であり、あなたの接続の問題ではないからです。イタリア旅行でeSIMが意味を持つのは、EU圏内に居住していない場合、元のプランにヨーロッパローミングが含まれていない場合、または通常のボーナスでカバーされる量をはるかに超えるデータ量が必要な場合です。
通信事業者別のeSIM vs ローミング
各通信事業者には独自のローミング条件があり、特にヨーロッパ以外では、その違いは顕著になる可能性があります。ラテンアメリカで自分の通信事業者のローミングに依存する予定がある場合は、出発前に特定の条件を確認することをお勧めします。例えば、Claroのローミングに関する専用ガイドや、ラテンアメリカのローミング(事業者別)の国別比較があります。どのケースでもパターンは同じです。ローミングは何もインストールしなくても機能しますが、含まれるコストとデータ量は事業者と契約プランによって大きく異なります。そのため、「もう含まれている」と決めつける前に、細かい条件を確認する価値があります。
eSIMを購入すべきでないケース(たとえ私たちが販売していても)
本当に役立つということは、いつお金を使う必要がないかも伝えることです。正直なところ、ローミングの方がうまく機能する、または単にそれ以上何も必要ないケースは以下の通りです。
- スペインの回線でEU加盟国に週末旅行する場合。リスボン、パリ、アムステルダムへの2、3日の小旅行であれば、あなたのプランですでにカバーされています。eSIMを購入するのは無駄な出費です。
- スペインの番号への着信を継続的に受ける必要があり、スマートフォンがデュアルSIMに対応していない場合(一部の古いモデルや非常に基本的なモデル)。その場合、ローミングを有効にしておく方が、2つのプロファイルを管理するより簡単です。
- スマートフォンにeSIMチップが搭載されていない場合。おおよそ2018~2019年より前のモデルには搭載されていません。私たちのeSIM対応スマートフォンガイドで確認できます。あなたの機種がリストにない場合、ローミングまたは物理的な現地SIMが引き続き選択肢となります。
- データ使用量が少ない日帰り旅行(例:近隣諸国への買い物ツアー)。何もインストールしないことで節約できる時間は、価格の差を補って余りあります。
ローミングとeSIMにまつわる誤解と、ほとんど語られない真実
各キャリアの料金や条件を比較してみると、いくつか注意しておきたい点があることがわかります。
- 「ローミング込み」≠「データ無制限」。ローミング込みのプランでも、EU圏外ではかなり少ないデータ容量に制限されていたり、その上限を超えると通信速度が大幅に低下する場合があります。「含まれている」という言葉だけに惑わされず、実際のデータ容量を必ず確認しましょう。
- EU圏内のローミングには、あまり知られていないフェアユースポリシーがあります。格安プランの場合、EUの規制により、通信事業者はプラン料金に応じたローミングの上限を設定することが認められています。通常の旅行ではほとんど影響ありませんが、格安プランで数ヶ月単位で滞在する場合、制限がかかる可能性があります。
- ローミングをオンにすることと、実際に使うことは別問題です。「念のため」とローミングをオンにしたまま、アプリのバックグラウンド通信(マップ、SNS、アップデートなど)でデータが知らず知らずのうちに消費されてしまうケースが後を絶ちません。eSIMをメインで使うなら、設定でモバイルデータ通信のローミング自体を完全にオフにするのが安全です。「うっかり使わないように気をつける」だけでは不十分です。
- eSIMは、銀行認証やSMSを使った2段階認証(2FA)の代わりにはなりません。eSIMはデータ通信専用です。銀行やアプリからSMSで認証コードが送られてくる場合、そのSMSは物理SIMの方に届きます。デュアルSIMモードで物理SIMをアクティブにしておけば受信できますが、物理SIMを完全にオフにしてしまうとコードを受け取れなくなります。
- プランの「4G」「5G」速度は、プラン自体だけでなく、その時の滞在先のネットワーク状況にも左右されます。地方や山間部では、ローミングでも現地のeSIMでも、そもそも高速通信に対応したアンテナが少ないため、速度が低下することがあります。これは製品の欠陥ではありません。
旅行前にeSIMをインストールする方法
初めてeSIMを試す方にとって安心なのは、インストールを自宅で、Wi-Fi環境で、落ち着いて行えることです。空港で急いで設定する必要はありません。基本的な流れは、購入後に届くQRコードをスマートフォンのモバイルネットワーク設定からスキャンし、プロファイルをダウンロード。そして、目的地に到着したらデータ回線としてアクティベートします(一部のプロファイルは、数日前にアクティベートしても、実際に使うまでデータを消費し始めないものもあります)。OS別のスクリーンショット付きの詳しい手順は、eSIMのインストール方法をご覧ください。
eSIMをまだ使ったことがない方は、現地で購入する物理SIMとの違いも気になるかもしれません。その比較については、国際SIM vs eSIMで詳しく解説しています。ローミングとの比較ではなく、こちらとeSIMのどちらを選ぶか迷っている場合にご参照ください。
よくある質問:eSIM vs ローミング
キャリアのローミングとeSIM、どちらがいいですか?
渡航先とご利用のプランによります。EU圏内でヨーロッパの回線をお使いなら、ローミングで十分で追加料金もかかりません。EU圏外では、料金が固定されたeSIMの方が予期せぬ請求を避けやすく、データをある程度使う予定ならお得です。ただし、決める前にご自身のキャリアの正確な条件を比較することをおすすめします。
eSIMを使うと電話番号は使えなくなりますか?
いいえ。eSIMはお手持ちの物理SIMとデュアルSIMモードで併用できます。電話番号はそのままで通話とSMSが利用でき、データ通信はeSIM側を通ります。何も置き換わったり失われたりすることはありません。
ローミングとeSIMを同時に使えますか?
はい、それが最もおすすめの設定です。物理SIMはローミング用に通話とSMSで使い、eSIMをスマホの設定でデータ通信のデフォルト回線として選択します。これでデータローミングが誤って有効になるのを防げます。
旅の途中でeSIMのデータが切れたらどうすればいいですか?
スマホからいつでも追加のプランを購入できますし、その間だけ物理SIMのデータローミングを一時的に有効にすることもできます。自動請求や、あなたが決めていないのに契約が更新されることはありません。
通信品質の面では、eSIMとローミングで差はありますか?
ほとんどの渡航先では違いはありません。eSIMも、お客様のキャリアがローミングで接続するのと同じ現地ネットワークに接続します。違いが出るのは通常、通信品質ではなく、料金とデータ使用量の管理方法です。
eSIMでデュアルSIMを使うには、キャリア側で特別な設定が必要ですか?
いいえ、デュアルSIMはキャリアではなくスマホの機能です。お使いのスマホがeSIMに対応していて、ネットワーク設定で両方の回線を有効にすれば使えます。
旅行者の間では、ローミングとeSIMの利用率はどうなっていますか?
eSIMの利用は増加傾向にありますが、特に追加料金がかからないEU圏内では、依然としてキャリアのローミングが主流です。差が顕著なのはEU圏外への旅行で、以前のように何も考えずローミングを使うのではなく、出発前に料金を比較する旅行者が増えています。
まとめ:それぞれを選ぶべきタイミング
単純な正解はなく、「必ずこちら」と断言する記事は説明を省きすぎています。EU圏内でご利用のキャリアのプランをお持ちなら、ローミングは既に料金に含まれています。そのまま使って、追加で購入する必要はありません。EU圏外、特に数日間の旅行でデータを普通〜多めに使う予定なら、料金が確定したeSIMの方が、出発前に正確な費用がわかり、プランの細かい条件や帰国後の予期せぬ請求を気にせずに済みます。
次の旅行先がアメリカなら、ご利用のキャリアのEU圏外での条件を確認し、アメリカ用eSIMプランと比較してみてください。また、お使いのスマホが対応しているなら、ヨーロッパ圏外のほとんどのルートでは、いつもおすすめしているやり方が賢明です。物理SIMを必要なときに、eSIMをデータ用に、両方を有効にしておきましょう。空港に着いて最初に目に付いた選択肢ではなく、目的地ごとに本当に必要なものを基準に決めてください。








