まとめ:旅行先でiPhoneのeSIMを使えば、2つの回線を同時に持てます。日本のSIMをメイン回線にして通話やWhatsAppに使い、渡航先のデータeSIMをセカンダリ回線にするだけ。現地ネットワークで通信でき、ローミング料金もかからず、自分の番号もそのまま維持できます。出発前に「設定」で4つの項目を調整するだけで完了します。
iPhoneを持って旅行に行くなら、eSIMが渡航先でデータ通信をする最も便利な方法だと聞いたことがあるでしょう。しかし、快適な旅と予期せぬローミング請求書の違いを生むのは、単にインストールするだけではありません。どの回線が何をするのかをきちんと設定しておくことが重要なのです。このガイドでは、専門用語を使わずに、ローミング料金もストレスもなく、着陸したらすぐにインターネットが使えるようにiPhoneを準備する方法をステップごとに解説します。
eSIMとは何か、なぜiPhoneで使うべきか
eSIMとは、物理的な形を持たないSIMカードのことです。iPhoneに工場出荷時から搭載されているチップに書き込まれるデジタルプロファイルです。何かを挿入したり、クリップでトレイを出す必要はありません。QRコードをスキャンするだけでインストールでき、数分で新しい回線がアクティブになります。eSIMが正確に何で、物理SIMとどう違うのか、完全な技術的詳細を知りたい場合は、eSIMとは何かのガイドをご覧ください。
旅行において、このデジタル的な性質こそがeSIMを非常に実用的にしています。渡航先のデータeSIMを購入し、家を出る前にインストールして、着陸したらすぐに使えるように準備しておくことができます。店に立ち寄る必要も、現地SIMを買うためにATMを探す必要もありません。そしてiPhoneは2つの回線を同時にサポートしているので、日本の番号か渡航先のデータかの二者択一を迫られることはなく、両方を同時に持つことができます。

iPhoneのデュアルSIMの仕組み
iPhoneでは、2つの回線を同時にアクティブにできます。日本のSIMカード(物理またはeSIM)と旅行用eSIMです。「設定」で、どの回線がモバイルデータを使用するか、どの回線が通話を管理するか、どの回線から各メッセージを送信するかを選択できます。この柔軟性こそが、旅行中に必要なものです。
考え方はシンプルです。日本の回線を「メイン」に設定して、通話や銀行からのSMS、いつもの番号への認証コードを受信し続け、渡航先のeSIMを「データ」回線に設定します。現地ネットワークで安く通信しながらも、連絡が取れる状態を維持できます。最近のiPhoneは、2つのeSIMを同時にインストールでき、さらに複数のeSIMをデバイスに保存して切り替えることもできます。頻繁にさまざまな国へ旅行する人には特に便利な機能です。
eSIM対応のiPhoneはどれか
iPhone XRおよびXS(2018年)以降のほとんどすべてのiPhoneがeSIMに対応しており、11、12、13、14、15シリーズ全体とそれ以降のモデルが含まれます。ここ数年以内に購入したiPhoneであれば、旅行用eSIMで問題なく動作すると考えてよいでしょう。
ご自身で確認するには、「設定」→「モバイル通信」と進み、「eSIMを追加」または「データプランを追加」のオプションを探してください。表示されれば、お使いのiPhoneは対応しています。重要な注意点が1つあります。iPhoneがキャリアロックされていないこと、つまり特定の通信会社に制限されていないことが、他社のeSIMを使用するための条件です。SIMフリーの店舗で購入したiPhoneや、分割払いを完了したiPhoneのほとんどは、この条件を満たしています。
簡単な確認方法:電話アプリのキーパッドで *#06# と入力します。表示されるコードの中にEIDがあれば、お使いのiPhoneにはeSIMチップが搭載されており、対応しています。プランを購入する前に疑問を解消する最も直接的な方法です。
旅行用eSIMのインストール手順
iPhoneへのeSIMインストールは1分もかからず、出発前に自宅のWi-Fiで済ませられます。プラン購入時にメールでQRコードが届くので、設定からスキャンするだけです。以下が正確な手順です。対応端末全般向けの一般的な説明は、eSIMのインストール方法ガイドをご覧ください。
- Wi-Fiに接続した状態で、「設定」→「モバイル通信」を開きます。
- 「eSIMを追加」→「QRコードを使用」の順にタップします。
- eSIM購入時にメールで届いたQRコードをスキャンします。
- 回線のラベルを求められたら、eSIMを「旅行用」または「データ用」、ご自身のSIMを「メイン」と名付けます。
- 何も削除しないでください。2つの回線は同じ端末で問題なく共存できます。
QRコードがうまくスキャンできない場合は、表示している画面の明るさを最大にし、映り込みがないか確認してください。同じメールに記載されている英数字コードを手動で入力する方法もあります。

メイン回線とデータ回線の設定
eSIMをインストールしたら、iPhoneに各回線の役割を設定する必要があります。ここで間違えると、eSIMが正しくインストールされていても、意図せずローミングを使ってしまう方が多いです。旅行時の正しい設定は以下の表の通りです。
| iPhoneの設定項目 | 旅行時に選択するもの | 理由 |
|---|---|---|
| モバイルデータ通信 | 旅行用eSIM | 渡航先の現地ネットワークで通信するため |
| 音声通話のデフォルト回線 | ご自身のSIM | いつもの電話番号で通話とSMSを受信するため |
| モバイルデータ通信の切り替え | オフ | iPhoneがご自身のSIMでデータ通信を行い、ローミング料金が発生するのを防ぐため |
| ご自身のSIMのデータローミング | オフ | ローミング料金に対する追加の防御策 |
この4つの設定により、常にeSIMで通信し、ご自身の回線では通信しなくなります。その間も、電話番号への着信は受けられます。旅行から帰国した際に驚くような請求書が届くのを防ぐ、理想的な組み合わせです。
データローミング:オフにする項目とその理由
データローミングとは、ご自身の回線が国外のモバイルネットワークを利用できるようにする機能で、通常は追加料金が発生します。料金プランに含まれていない場合、1日あたり数ユーロを超えることもあります。この設定の意味や、なぜiPhoneのオプションに表示されるのかをよく理解していない方は、設定を変更する前にデータローミングとは何かをじっくりお読みになることをお勧めします。
重要なのは、この設定はiPhoneにインストールされている回線ごとに個別に存在するという点です。つまり、旅行用eSIMではデータローミングをオン(購入した国で機能させるため)にし、ご自身のSIMではオフ(国外での利用による課金を防ぐため)にできます。これらは独立した2つのスイッチであり、それぞれ個別に確認する必要があります。旅行用eSIMを購入することと、単にキャリアのローミングをオンにしておくことの違いを詳しく知りたい方は、eSIMと従来のローミングの比較をご覧ください。
出発前のチェックリスト
搭乗前に、自宅のWi-Fiですべて準備を整えておきましょう。そうすれば、到着後はスマートフォンの電源を入れるだけで使えます。以下のリストで、iPhoneに関する重要な設定を忘れずに確認してください。
- eSIMをインストールし、回線を「旅行用」と「メイン」にラベル付けする。
- 「モバイルデータ通信」で、データ回線に旅行用eSIMを設定する。
- 「モバイルデータ通信の切り替え」をオフにして、ご自身のSIMに切り替わらないようにする。
- ご自身のSIMのデータローミングをオフにする。
- WhatsAppが引き続きご自身の電話番号に紐付いていることを確認する(自動では変わりません)。
- 到着後、電波を掴むまでに時間がかかる場合に備えて、オフラインで使える地図や重要な書類をスマートフォンにダウンロードしておく。
自宅で全て準備しておけば、到着後はeSIMのデータ通信をオンにするだけで、空港のWi-Fiを探したり、物理SIMを買うためにATMを探し回ったりする必要はありません。
iPhoneにおけるeSIM vs 従来のローミング
旅行中のデータ通信手段を選ぶとき、実際には大きく異なる2つの選択肢があります。ご自身のキャリアでローミングを有効にするか、iPhoneに現地または地域のeSIMをインストールするかです。以下の表は、最も実用的な違いをまとめたものです。各キャリアやプランによって異なるため、具体的な金額は記載していません。
| 項目 | キャリアのローミング | iPhone用旅行eSIM |
|---|---|---|
| EU圏外の費用 | プランによっては1日数ユーロ以上、または消費MBごとに課金される場合あり | 旅行前に選んだデータプランの定額料金 |
| アクティベーション | 到着時に自動で有効になり、費用の通知なし | 手動:データ消費を開始したい時に自分で有効化 |
| いつもの電話番号 | 同じ回線を使用するため、そのまま維持 | 音声通話のメイン回線として残るため、そのまま維持 |
| 契約 | キャリアの契約条件や縛りに依存 | オンラインで購入、縛りなし、出発前に自宅で完了 |
| 通信エリア | キャリアが渡航先で提携しているネットワーク | eSIMプロバイダーの現地または地域ネットワーク |
根本的な違いは「コントロール」です。ローミングの場合、キャリアがその国向けに結んでいる条件に依存することになり、請求書を見るまでその内容を確認しないことも少なくありません。eSIMなら、購入したデータプランとその有効期限を事前に把握でき、いつ有効にするかも自分で決められます。
よくあるミスと、ほとんど誰も教えてくれないこと
基本的な設定の先には、ほとんど誰も触れないけれど、旅がスムーズにいくか、最後の瞬間にヒヤッとするかの分かれ目になるポイントがいくつもあります。
- 到着した空港でeSIMをインストールするのは、典型的な失敗です。プロファイルのダウンロードにはWi-Fiが必要ですが、着陸したばかりの空港のWi-Fiはいつもうまくいくとは限りません。家で落ち着いてインストールし、現地でアクティベーションするのが正解です。
- 「eSIMを入れた」=「データ通信が使える」と思い込むこと。eSIMがインストールされ、データ回線として正しく設定されていても、そのeSIMのデータローミングがオフになっていれば、やはり通信はできません。自分の国内SIMだけでなく、eSIM側のスイッチも必ず確認しましょう。
- 2回線を同時に使うと、すべてのアプリが同じように動くとは限りません。銀行アプリや二段階認証のアプリの中には、ネットワークの変更を検知して少し動作が遅くなるものもあります。その場合は、何かを再インストールする前に、数秒待ってから再試行してみてください。
- 保護されていない公衆Wi-Fiを使うのは、eSIMがあってもなくてもリスクです。eSIMを使えば自分専用のデータ通信ができ、カフェや空港のオープンWi-Fiに接続する必要性は減りますが、それでも重要な手続きをする際は、もう一段階の保護を追加することをおすすめします。詳しくはeSIMを使った旅行中のVPNとプライバシー保護ガイドをご覧ください。
- 自動アップデートで知らないうちにデータを消費してしまうこと。出発前に、アプリがモバイルデータで自動更新されない設定になっているか確認しましょう。データプランを節約する具体的な方法は、旅行中にeSIMのデータを節約する方法のガイドで紹介しています。
- エリアに合わないプランを購入してしまうこと。ヨーロッパの複数国をまたぐ旅程なら、1カ国専用のeSIMでは足りません。国境を越えるたびに新しいeSIMをインストールしなくて済むよう、最初からヨーロッパ用eSIMを検討しましょう。アメリカが目的地なら、その国のカバレッジに特化したアメリカ用eSIMが適しています。
よくあるトラブルとその解決方法
iPhoneでeSIMに関するトラブルのほとんどは、プランの問題ではなく、設定のミスが原因です。旅行中に起こりがちな問題と、その素早い解決策をご紹介します。
- 到着してもデータ通信ができない:eSIMがデータ回線として選択されているか、そしてeSIM自体のデータローミングがオンになっているかを確認してください。
- ローミング料金が請求された:「モバイルデータ通信の切り替え」がオンになっていたか、国内SIMのローミングが有効になっていました。両方をオフにしてください。
- QRコードが読み取れない:購入メールに記載されている英数字コードを使って、手動でデータを入力してください。
- WhatsAppでメッセージが送信できない:そのエリアでeSIMにデータ通信と電波があるか、そしてWhatsAppにモバイルデータの使用が許可されているかを確認してください。
- 着陸直後は動作が遅い:電話機が現地のネットワークに接続するまで、1〜2分ほどお待ちください。機内モードをオフにした直後はよくあることです。
よくある質問
iPhoneの物理SIMを抜かずに旅行用eSIMを使えますか?
はい、それがまさに便利な点です。iPhoneでは2つの回線を同時に利用できます。日本のSIMを通話とSMS用のメイン回線に、旅行用eSIMをデータ回線に設定すれば、普段の番号やカードを維持したまま現地のネットワークで通信できます。
自分のiPhoneがeSIM対応かどうかはどうやって確認しますか?
iPhone XRおよびXS(2018年発売)以降のほとんどの機種が対応しています。確認するには*#06#と入力してEIDが表示されればeSIMチップが搭載されています。または「設定」→「モバイルデータ通信」に進み、「eSIMを追加」オプションがあるかどうかをご確認ください。なお、iPhoneはキャリアロックが解除されている必要があります。
eSIMを設定しているのにローミング料金がかかるのはなぜですか?
ほとんどの場合、「モバイルデータ通信の切り替え」がオンになっていることが原因です。この設定が有効だと、eSIMの電波が一瞬切れたときにiPhoneが日本のSIMを使ってしまうことがあります。この機能をオフにし、さらに日本のSIMカードのデータローミングも無効にしてください。そうすれば、iPhoneはeSIMのみを通信に使うようになります。
今まで使っていた日本の電話番号でWhatsAppを引き続き使えますか?
はい。WhatsAppは日本の番号に紐づいており、eSIMのデータ通信を使ってそのまま動作します。eSIMをインストールしても自動的に変わったりはしません。ただし、WhatsAppがモバイルデータ通信を使う許可がオンになっていること、そしてeSIMの電波が旅行先で届いていることをご確認ください。
eSIMのインストールはフライト前に済ませるべきですか、それとも到着後にできますか?
ご出発前にWi-Fi環境のあるご自宅でインストールしてください。手順自体は約1分で完了し、プロファイルのダウンロードにインターネット接続が必要です。その後、現地に到着したらeSIMのデータ通信を有効にするだけで使えます。到着空港でWi-Fiなしでインストールしようとするのが最もよくあるミスで、簡単に防げます。
iPhoneには同時にいくつのeSIMを保存できますか?
最近のモデルでは複数のeSIMを端末に保存できますが、同時にアクティブにできるのは2回線までです(物理SIM1枚+eSIM1枚、またはeSIM2枚)。頻繁に旅行される方には便利で、各eSIMを保存しておき、その時々の滞在国のものだけをアクティブにして使えます。
eSIMはEU圏内とEU圏外で同じように機能しますか?
技術的には同じで、インストールとアクティベーションの手順は変わりません。異なるのはカバレッジと必要なプランです。EU圏内であれば複数国対応のプランで十分なことが多いですが、EU圏外では確実なカバレッジを得るために、その目的地または地域専用のeSIMを選ぶのがおすすめです。
まとめ
iPhoneはeSIMでの旅行に最適です。2回線を同時に使え、日本の番号はそのまま、適切に回線を使い分けるだけで現地データ通信も利用できます。自宅のWi-Fiでインストールし、モバイルデータ通信をeSIMに設定し、日本のSIMのローミングは無効にしてください。この設定で、どこに旅行されても、つながった状態で到着し、請求書の驚きもなくなります。







